社内でファイルを共有する手段として、NAS(ネットワーク接続ストレージ)を使っている企業は多くあります。
一方で、取引先やクライアントなど社外の相手にファイルを届ける場面では、NASだけでは対応が難しいケースがあります。
この記事では、社内共有サーバー(NAS)とファイル転送サービスのそれぞれの特性を整理し、用途に応じた使い分けの考え方を解説します。
社内共有サーバー(NAS)とは
NASは「Network Attached Storage」の略で、社内ネットワークに接続した共有ストレージ機器です。同じネットワーク内のメンバーがファイルにアクセスできるため、社内でのファイル共有やデータ保管に広く利用されています。
物理的なハードウェアを自社で管理するため、データを自社設備内で管理できる点が特徴です。
一方で、初期導入にはハードウェアの購入と設定が必要で、運用・管理は社内のIT担当者が担う形になります。
社内共有サーバー(NAS)の特性
メリット
- データを自社設備内で保管・管理できる
- 容量はハードウェアの構成次第で柔軟に対応できる
- 社内ネットワーク内でのアクセスが高速
- 月額利用料が発生しない
デメリット
- 社外からアクセスするためには、VPNなどの追加設定が必要になる場合がある
- 初期導入にハードウェアの購入費用と設定作業が発生する
- 運用・障害対応・セキュリティ更新を社内で担う必要がある
- 取引先など、社外とのファイル共有に手間がかかる
ファイル転送サービスとは
ファイル転送サービスは、Webブラウザからアクセスして利用できるオンラインのサービスです。
送る側がファイルをアップロードしてダウンロードURLを発行し、受取人がそのURLからファイルをダウンロードする流れが一般的です。
インターネット環境があればどこからでも利用でき、受け取る側の会員登録が不要なサービスもあります。社外の取引先やクライアントとのファイル共有に向いています。
ファイル転送サービスの特性
メリット
- 社外の相手と、インターネット経由でファイルを共有できる
- 受け取る側が会員登録不要のサービスもある
- TLS(SSL)による暗号化・パスワード・ワンタイムパスワード認証などのセキュリティ機能が標準搭載されているサービスが多い
- 初期設定はアカウント登録のみで、ハードウェアの購入や設置が不要
- ダウンロード履歴や有効期限の管理ができるサービスもある
デメリット
- データはサービス事業者のサーバーに保管されるため、自社で物理的に管理することはできない
- 月額利用料が発生するサービスが多い(無料プランあり)
- 無料プランでは転送容量・有効期限・受取人数などに制限があることが多い
比較表
| 比較項目 | 社内共有サーバー(NAS) | ファイル転送サービス |
|---|---|---|
| 社外との共有 | VPNなどの追加設定が必要になる場合がある | インターネット経由で共有できる |
| 受け取る側の操作 | VPN接続などの設定が必要 | URLへのアクセスと認証のみ |
| 初期費用 | ハードウェア購入費が発生 | 不要または少額(サービスによる) |
| 月額費用 | 原則なし | プランによる(無料プランあり) |
| データの保管場所 | 社内設備(自社管理) | サービス事業者のサーバー |
| 運用・管理 | 社内IT担当者が担う | サービス側が管理 |
| セキュリティ機能 | 設定・構成による | 認証・暗号化が標準搭載のサービスが多い |
| ダウンロード履歴確認 | 設定による | 標準機能として持つサービスがある |
用途に応じた使い分けの考え方
社内共有サーバー(NAS)が向いているケース
社内メンバー間でのファイル共有・保管が中心の場合は、NASが向いています。同じネットワーク環境内で大量のデータを継続的に共有・管理する用途や、データを自社設備内に置いておきたい要件がある場合に適しています。
ファイル転送サービスが向いているケース
取引先・クライアント・外注先など社外の相手にファイルを届ける場面では、ファイル転送サービスが向いています。相手側にVPN接続や特別な設定を求めずに共有できる点と、認証付きの共有URLによってダウンロード状況を管理できる点が、社外とのやり取りに適しています。
両方を使い分けるケース
社内での保管・共有にはNASを使い、社外への送付にはファイル転送サービスを使うという組み合わせも実際の運用では多く見られます。それぞれの用途に合った手段を選ぶことで、運用の負担を抑えながらセキュリティを保ちやすくなります。
まとめ
社内共有サーバー(NAS)とファイル転送サービスは、目的が異なるツールです。社内での管理にはNAS、社外への送付にはファイル転送サービスという考え方で整理するとわかりやすいです。
- NASは社内ネットワーク内での共有・保管に向いており、社外への直接共有には追加設定が必要
- ファイル転送サービスは社外の相手と手軽に共有でき、受取人側の負担も少ない
- ダウンロード履歴や有効期限の管理が必要な場合は、その機能を持つファイル転送サービスが有効
- データの保管場所に要件がある場合は、国内のデータセンターを利用しているサービスを選ぶ方法もある